里山に春を告げる花

皆さんは、この花を見たことがありますか?

山の雪が解け始める頃、他の植物より早く咲く花で「里山に春を告げる花」と呼ばれています。

もしかしたら、見たことはないけど、名前は聞いたことがある!という方もいらっしゃるかも知れませんね☆

この花は「カタクリ」といいます。
6枚の薄紫色の花びらを外側に反り返らせて咲く姿が、とても可愛らしい花です。

今回は、里山に春を告げる花「カタクリ」の特徴を、いくつかご紹介します。

カタクリは、ユリ科の多年草で、開花時期は、その土地の気候により少し異なりますが、新潟県内では、大体4月上旬から5月上旬頃まで、比較的日光の差す落葉広葉樹林などで見ることができます。

角田山 登山道両側に咲くカタクリの群生

カタクリは晴天の日、気温が上がると開花し、気温が下がる夕方になると花びらを閉じます。
曇りや雨の降る寒い日は、一日中花びらを閉じたままなので、花びらをピンと後ろに反り返らせている姿が見たい方は、よく晴れた日のお昼頃までに、見に行くことをお勧めします。

他にも、カタクリは「スプリング・エフェメラル」(春の短い命)とも呼ばれています。
それは、一年のうち、春の2か月間という短い期間だけしか、その姿を見ることが出来ないからです。
その後、地上部分は枯れて球根だけになり、残り10か月間を深い地中で休眠状態で過ごします。
そして翌年の春、また短い期間だけ地上に姿を現すのです。

このような花は、カタクリだけではありません。セツブンソウやニリンソウも、その仲間です。

また、カタクリの成長はとてもゆっくりで、花を咲かせるのに、7,8年もかかります。
最初は糸のように細い葉を一枚出し、養分を球根に貯めながら、毎年少しずつ成長していきます。
そして7、8年かけてやっと!二枚の葉を出して、花を咲かせることが出来るのです。

カタクリの特徴は、これだけではありません。
たくさんの木が生い茂る場所で咲くカタクリは、アリを利用して、種を遠くに運ばせます。
カタクリの種には、アリが好むエライオソームという、白いゼリー状の塊がついていて、地上に種が落ちると、アリが種に群がり、巣穴へと運んでいきます。

カタクリは、アリに種を運ばせることで、少しでも多くの子孫を残そうとしているのです。

そして、もうひとつ!
料理でとろみをつける時に使う「片栗粉」、皆さんのご家庭の台所にもありませんか?

片栗粉は、昔カタクリの根に含まれているデンプンで作られていました。

しかし近年、カタクリの自生地が減っている上、一つの根から作られる片栗粉の量もわずかなため、よく似た性質のじゃがいも(馬鈴薯(ばれいしょ))のデンプンで、片栗粉は作られています。

カタクリは今、開発による環境の変化や乱獲などにより、その自生地が減っています。
そのため、多くの都道府県で、絶滅の恐れのある生物種として、大切に保護されています。
昔は、各地で広く見られたカタクリですが、今ではとても貴重な花なのですね!

当館の自然の科学2階のブナ林には、季節ごとのカタクリの姿を見ることができます。
見つけたことのある方いらっしゃいますか?

さぁ、どこにあるのか探しに来てくださいね!
皆様のご来館お待ちしております。

インタープリター 伊藤


《参考文献》
・「実とタネ キャラクター図鑑」著:多田妙子 出版:誠文堂新光社
・「野に咲く花の生態図鑑」著:多田妙子 出版:河出書房新社
・Newton special issue 植物の世界第1号 出版:株式会社教育社
・新潟県公式観光情報サイト・にいがた観光ナビ カタクリの開花情報