火星最接近

みなさんこんばんは(昼間にご覧になった方はこんにちは)!
プラネタリウム解説員のすじこです。

突然ですが、みなさん11月8日の皆既月食はご覧になったでしょうか?
当館ではこの日「月食観望会」を開催し、多くのお客様にご来場いただきました。

当館60cm反射望遠鏡と皆既月食中の月

今回の観望会では初の試みとして他館との中継を実施し、「新潟県立自然科学館」(新潟県)「ふなばし三番瀬環境学習館」(千葉県)、「仙台市天文台」(宮城県)の3会場から見えた皆既月食をプラネタリウムドームに投映しました。
ふなばし三番瀬環境学習館から見える月を中継!

今回は皆既月食中に、天王星が月に隠される天王星食も起こりました。
皆既月食中に惑星食が起こるのは滅多にないことで、次に日本で起こるのは322年後だとか。まさに歴史的瞬間……!

惜しくも見られなかったという方は、ふなばし三番瀬環境学習館のYouTubeに中継映像がアーカイブで残っていますので、ぜひそちらをご覧ください!当館から見えた皆既月食・天王星食の様子もご覧いただけます!

さて、今年も終わりに近づいてきましたが、まだ注目の天文現象は残っています。12月1日には、火星と地球が最接近します!

2016年~2035年 最接近時の地球と火星/国立天文台HPより

地球も火星も太陽の周りをぐるぐる回っている太陽系惑星です。
太陽系惑星が太陽の周りを回る運動を「公転」といい、太陽の周りを一回りするまでにかかる時間を「公転周期」といいます。
この公転周期や軌道は惑星によりそれぞれ違っていて、惑星同士の位置関係は絶えず変化しています。

地球のひとつ外側を回っている火星の公転周期は687日で、地球の公転周期は365日です。この公転周期の違いによって、地球が火星に追いつき、追い越すタイミングがあります。地球が火星を追い越す時に、2つの星同士の距離が近づき、「最接近」となるのです。

この追い越しはおよそ2年2か月という周期で起こるため、最接近の日時は毎回異なります。また、地球がほぼきれいな円形の軌道で公転しているのに対し、火星の公転軌道は楕円形をしているので、最接近時の地球と火星の間の距離も一定ではありません。

したがって、15年から17年に一度、地球と火星の最接近の中でも特に距離が近い「大接近」(図の2018年や2035年)が起こります。また反対に最接近の中でも地球との距離が遠い時もあるのです。(図の2027年など)

今回は、「最接近」のなかでも中くらいの距離。火星は地球からの距離によって地上からの見え方が変わるのですが、前回2018年に起きた大接近の地球から見た時の火星の視直径(見かけの直径)は24.3で、今年の最接近の時の視直径は17.2と大接近時の7割程度です。

しかし!「なーんだ、大したことないじゃん」と甘く見てはいけません。中くらいの距離とは言え、今回の接近でも十分火星を楽しめます。

火星が地球から離れている時の明るさは約2等と、おうし座の一等星アルデバランやオリオン座の一等星ベテルギウスよりも暗いのですが、今はなんと-1.6等(11月17日時点)。12月上旬には-1.9等まで明るくなるといわれています。
火星は11月中旬の今もう既に存在感を放ち、夜空でとっても目立っているのです。

ちなみに最接近となる12月1日がいちばん明るく見えるというわけではなく、地球から見た火星と太陽の位置関係により、12月6日~9日の間が今年一番の明るさとなるので、このあたりに観察するのがとくにおすすめですよ。

この機会を逃さず、ぜひご覧ください!

プラネタリウム解説員 すじこ


【参考】
・国立天文台ホームページ/火星の接近
https://www.nao.ac.jp/astro/basic/mars-approach.html

【皆既月食&天王星食YouTubeアーカイブURL】
・天体観望会「星と潮騒の夕べスペシャル・皆既月食」(ふなばし三番瀬環境学習館)
https://youtu.be/XoZjmr4BQDI