歯のない動物

歯は食べ物を噛んだり、獲物を捕らえたり、
動物にとって大切な器官で、脊椎動物の多くは歯をもっています。
脊椎動物とは背骨をもつ動物のことで
哺乳類、爬虫類、鳥類、魚類、両生類の5種類います。
実はこの中に1つだけ、全ての種が歯をもたないグループがあります。

 

哺乳類、爬虫類、鳥類、魚類、両生類 のイラスト

それぞれの動物の口の中を想像してみて下さい。
歯をもたないのはどのグループか分かりましたか??

正解は、鳥類です。

鳥類の祖先である始祖鳥には、化石の様子から歯があったことが分かっています。
しかし、進化の過程で退化していき、今の鳥類には歯がありません。
歯が退化した理由は諸説ありますが
「体を軽くするため」や「ふ化の期間を短くするため」と考えられています。

では、歯をもたない鳥類は、
どのようにして食べたものを消化しやすくしているのでしょうか。
身近なニワトリを例に説明します。

ニワトリの消化の様子を示したイラスト

ニワトリには、「そのう」という
食べた物を一時的に貯えておくための器官があります。
そこから「前胃」を通り、
徐々に「さのう」という器官に食べた物を移動させます。

「さのう」は筋肉で覆われていて、
中には予め飲み込んでおいた小石や砂が入っています。
この筋肉を動かすことで、食べた物と小石等をこすり合わせて砕き、
消化を助けているのです。

実はこのニワトリの「さのう」、私たちは食べることができます!
「さのう」の別名は「砂肝(すなぎも)」。
そう、あのコリコリとした食感が美味しい、焼き鳥の人気メニューです。

気になった方は是非食べてみて下さい。
でも、私たちにはニワトリにあるような「さのう」はないので、
歯でしっかりと噛んで食べましょうね!

インタープリター・土屋


≪参考≫

・『目で見る科学③鳥』偕成社.
・『こども百科 ワンダーキッズペディア』小学館.
・大島英太郎『とりになったきょうりゅうのはなし』福音館書店.
・古瀬充宏『ニワトリの科学』朝倉書店.
・フランク・B.ギル『鳥類学』新樹社.