世界最大の生物って何だと思いますか?

そう聞かれた時に、どんな生物を思い浮かべますか?

「アフリカゾウ」?
「シロナガスクジラ」?

どちらも残念!
実はもっと大きな生物が存在します。

正解は…なんと“きのこ”です!!

「え?そんなに大きなきのこがあるの?」と思われる方もいるかもしれませんが、もちろん、クジラの大きさを超えるきのこが生えているわけではありませんよ。

実は一説によると、世界最大の生物は木材や木の根っこを食べて育つ「ナラタケ」のなかまだと言われています。

私たちが普段目にするきのこは、全体から見るとほんの一部にすぎません。専門用語では「子実体(しじつたい)」と呼ばれ、胞子を作るための器官です。

きのこの本体は「菌糸(きんし)」。これはとても細い糸のようなもので、何本も枝分かれして樹皮の下や地面の中に広がっています。そして何千年もかけて、コロニーと呼ばれる巨大なネットワークを作ることがあります。コロニーは1点から広がっており、菌糸は繋がっているので、1つの個体としてみなすことができるのです。

アメリカにあるナラタケのコロニーは、超巨大きのことして知られ、その菌糸は2㎢以上にわたって延びていることが明らかになったのです。このことから計算すると、個体の重さは数千t、年齢は数千歳ということも推定されました。

世界最大の動物と言われているシロナガスクジラの体長は最大でも33mほど。2㎢以上となると、桁違いの大きさですよね。

ちなみに、当館に隣接する鳥屋野潟の面積は1.58㎢ですから、それよりももっと大きいことになります。

きのこがどれだけ大きな生物か、イメージしていただけましたか?

自分が立っている地面の下には、とてつもなく大きなきのこの菌糸が広がっているかもしれない。そう考えると、ワクワクするような、ちょっと怖いような…。

さて、当館には落ち葉の下にあるきのこの菌糸を見ることが出来る場所があります。

それは、自然の科学2階にあるブナ林の一角。

「落ち葉の下をのぞいて見よう」というプレートをずらすと…

この白くて細い糸のようなもの(クモの巣ではありませんよ!)が、きのこの本体である「菌糸」です。

落ち葉などに生えるきのこは腐生菌(ふせいきん)と呼ばれ、葉っぱを分解して土に戻します。

また、木材を腐らせているきのこは木材腐朽菌(もくざいふきゅうきん)と呼ばれ、木材を分解して土に戻しているのです。そのことから、きのこは「森の掃除屋さん」と呼ばれています。

実は超巨大な生物で、落ち葉や木材を土に戻すという、森にとって重要な役割を担っているきのこ。

「きのこ?食べるけどあまり興味はないなぁ…。」と、考えていた方は少し見る目が変わりませんでしたか?来館された際はぜひ、チェックしてみてくださいね!

インタープリター S


《参考》
『子供の科学★サイエンスブック きのこの不思議 きのこの生態・進化・生きる環境』著:保坂健太郎
『小学館の図鑑NEO きのこ』