小さな星座たち

皆さん、こんにちは!プラネタリウム解説員のIです。

いよいよ9月が始まりました。これから日の入りの時刻がさらに早くなり、夜が長くなっていきますね。少しゆっくり出来そうな夜には、ぜひいろいろな星や星座を楽しんで頂きたいなと思います。

迫力ある大きな星座も見ごたえがあって良いですが、ちょこんと小さな星座たちも可愛くて、見ていると癒されますよ☆彡今日は、今の夜空で見つかる小さな星座たちの中から、個人的オススメをいくつかご紹介します。

オススメ①『かんむり座』

半円を描くように並ぶ7つの星を冠に見立てた華やかな星座です。
神話によれば、酒神ディオニュソスが王女アリアドネにプレゼントした冠で、7つの宝石が散りばめられていたといいます。星ひとつひとつが瞬く様子は、まるで宝石がキラキラ輝いているように見えて素敵✨かんむり座で一番明るい星はゲンマ(「アルフェッカ」とも呼ばれます)といい、この名前には「宝石」という意味があるそうです。なんともオシャレな星座です。

☆かんむり座の見つけ方☆

まず、うしかい座の一等星・アークトゥルスを見つけましょう。かんむり座周辺で一番明るく目立つオレンジ色の星です。アークトゥルスより少し高い所に、うしかい座の二等星・プルケリマ、更に高い所にかんむり座のゲンマがあります。3つの星を繋ぐと細長い三角形が出来ますので、「この星で合っているのかな?」と確かめる時には三角形を描いてみて下さいね。午後8時頃の空ではそろそろ見納めです。お早めにご覧ください。

オススメ②『いるか座』

数字の9のような星の並びをイルカに見立てた星座です。
神話では、海の神ポセイドンの恋を後押ししたイルカや、音楽家アリオンの命を助けた音楽好きなイルカなどとされています。広い星空を小さなイルカが一生懸命泳いでいると想像すると、とっても可愛らしいです🌼

…ちなみに日本の一部の地域では、イルカの頭の辺りにある菱形の星の並びを、納豆を包む藁・「わら包(つと)」の形に見立てて「ツトボシ」と呼んだそうです。 同じ星の並びでも、西洋ではイルカ、日本では納豆だなんて面白いですよね。

オススメ③『や座』

細長いYの字のような星の並びを矢に見立てた星座です。そのままの形ですね!
神話では、愛の神キューピッドの矢で、この矢にあたると神様も人間もたちまち恋に落ちてしまうと伝えられています。

個人的に一番気に入っている星座です。昔、流星群を見ようと夜更かしした時に初めて「や座」を見つけたのですが、夜風に吹かれながら星々の瞬きを見ていたら、まるで矢が風を切って飛んでいくかのように見え、カッコイイ素敵な星座だなと感じました。 小さくまとまって控えめに輝くチャーミングな姿に、あなたの心も射止められてしまうかも…?

☆いるか座、や座の見つけ方☆

どちらの星座も探す時には夏の大三角が目印となりますので、まずは南の空の高い所を見上げ、明るい星3つでできる大きな三角形を探しましょう。

いるか座は夏の大三角の東側に、や座は夏の大三角の内側にあり、どちらもわし座の一等星・アルタイルのすぐ近くに見つかります。 いるか座もや座も暗めの星が多いので、できるだけ街灯りが少ない場所でさがすのがオススメですよ。

さて、今回3つの小さな星座たちを紹介しましたが、いかがでしたか?初めはちょっと見つけるのが大変かもしれませんが、1回見つけられれば、きっと2回目は苦労しないはず!ぜひ一度、探してみて下さいね。

プラネタリウム解説員I

<参考>
・山田卓著『夏の星座博物館』地人書館
・原恵著『星座の神話』恒星社厚生閣 ・北尾浩一『日本の星名事典』原書房