皆さん、こんにちは!山登りが大好きなインタープリター伊藤です。
去年の7月頃、谷川岳に登った時にこんな植物を見つけました!
ギンリョウソウ(銀竜草)です。別名ユウレイタケ(幽霊茸)と言います。
ギンリョウソウは、日本全土に分布し、6月から7月頃、湿り気の多い山地行くと見つけることができます。
この透き通るような、真っ白な姿、珍しいですよね?
ギンリョウソウは、植物でありながら光合成を行う葉緑体を持たないため、このように真っ白な姿なのです。
光合成とは、植物の葉にある葉緑体で光のエネルギーを利用し、水と二酸化炭素から、酸素とデンプンを作り出す働きのことです。そして、この時作られるデンプンが植物にとって生きるために必要な養分になります。
では、光合成を行う葉緑体を持たないギンリョウソウ……、
いったいどうやって養分を得ているのか不思議ですよね?
その答えは、根の部分にあります。
ギンリョウソウの根には、菌根と呼ばれるものがあります。この菌根で菌類から養分を得て生きているんです。
ギンリョウソウのように光合成をせず、菌類から養分を一方的に吸収している植物を「菌従属栄養植物」と言います。
しかし少し前までは、ギンリョウソウは「腐生植物」と呼ばれていました。
カビやキノコのように、腐ったものに生える植物だと思われていたんですね。
今でもこの呼び名は残っています。
ですが近年、研究が進み、腐ったものから養分を吸収しているのではなく、菌類から養分を吸収していることが分かり「腐生植物」という言葉が相応しくないということから「菌従属栄養植物」と広く使われるようになりました。
これから、山歩きが気持ちいい季節ですね!
山地におでかけの際は、ぜひこのギンリョウソウを探してみて下さい。
また、当館の自然の科学2階のブナ林にもギンリョウソウがあります。
見つけたことのある方いらっしゃいますか?
さあ!どこにあるか、当館に来て探してみて下さいね!
インタープリター・伊藤
《参考》
・中学校科学 出版/学校図書株式会社
・ニューワイド学研の図鑑「植物」 出版/株式会社学習研究社
・小学館の学習百科図鑑「植物の図鑑」 出版/株式会社小学館
・フィールド図鑑-植物①
「山地の森林植物」 著/奥田重俊・武田良平 出版/東海大学出版会
・「森を食べる植物・腐生植物の知られざる世界」 著/塚谷裕一 出版/岩波書店