6月21日 部分日食、観測しました🌤

みなさんこんにちは、学芸のKです。
6月21日(日)の夕方、みなさんは何をされていましたか?
科学館スタッフは屋上にて、部分日食を観測しました!天文チームが『天文便り』にてご報告しましたが、Kの視点で、時々脱線しながら(笑)ご報告したいと思います。

 

1.そもそも、どうして日食は起こるのか?

まずはおさらい。なぜ日食が起こるのでしょうか?ひとことで言ってしまえば、太陽と地球の間をちょうど月が通ったから、ですね(さらっとしすぎ)。月が通ったことで、地球が月の影の中に入る。これが日食。
※下の図は国立天文台のホームページからお借りしました。

地球は太陽の周りを、そして月は地球の周りをくるくると回っていますよね(公転)。この通り道(公転軌道)、同一平面上にはなくて、地球の軌道面(黄道)を基準にすると月の軌道面(白道)はちょっとだけ傾いています。どのくらい傾いているかというと、およそ5度。…たったの5度、されど5度。しかも月のほうはけっこうゆらゆらしているので、太陽-月-地球が(ほぼ)一直線に連なることはレア、というわけです。ちなみに太陽-地球-月の順に一直線になると?そうです、月食ですね。

日食は宇宙から見ると地球の一部が月の影の中に入っている様子がはっきりとわかります。NASAのホームページではISSから見た日食の写真も公開されていますので、気になる方はLet’s 検索。一部分だけ丸く暗くなっているので、「月の影が掛かっているんだなぁ」というのがすぐに分かります。これを「肉眼で見たい…」という方は、宇宙飛行士を目指しましょう(笑)

ちょっとつぶやき。よく日食を簡単に説明するときには「太陽・月・地球が一直線に並ぶと~」という説明で終わることが多いのですが、…これって新月になるときの説明でもあるんですよね。だから「一直線」だけで終わってしまうと「毎月、日食が起こってもおかしくないじゃん!」と突っ込みたくなりませんか?先述のとおり月の軌道面は5度程度傾いているんです。しかもそれ自体も周期があってゆらゆら動くものだから、日食や月食が「●ヵ月に一度必ず起こります」みたいな定期的な現象にはならない。解説でこの月の軌道面の動きに触れられることってあんまりないんですよね…。でもだからこそ面白い部分だと個人的には思っているのです。月の動きについてもっと詳しく知りたい!という方には、いろんな本がありますが私は渡部潤一先生の著書『最新・月の科学 残された謎を解く』をお薦めします。この月の軌道面の傾きについてもわかりやすく説明されてます。2008年の本なので入手が難しい場合は図書館などにはあると思うので、気になる方はこちらもLet’s検索。

 

2.日食の観測 ~こんな方法で観てみました~

さて、ここからは21日の報告を。当館ではカメラで撮影する他に、天体望遠鏡に投影板を取り付けて観測をしました。望遠鏡だと1人しか観測できませんが、投影板があれば複数人で一緒に観測ができます。望遠鏡には赤道儀を取り付けます。これは太陽の動きを自動追尾してくれるもの。少しずつずれていく天体を追いかけるのって大変じゃないですか。自動で追いかけてくれる機器が世の中にはあるんですよ。まぁなんて便利。これで徐々に欠けていく太陽をしっかり観測することができます。

三脚についているのが赤道儀。地面左側にあるのはバッテリー。望遠鏡の接眼レンズの先に投影板を取り付けて、ここに映った太陽光を観察します。

投影板に映った太陽はこちら。

天文便りにも載せてましたね。
他にも、天文チームが事前にHPにて紹介していたピンホールを利用した日食観察。小さい穴を開けて、そこを通り抜けた光で欠けている太陽を観察。「6.21」を作っている光の点が欠けているのがわかります。

最後に、カメラにフィルターを取り付けて撮影した日食の写真です。日食開始前の16時04分から、日食終了後の18時01分まで、約10分毎に撮影したものを重ね合わせましたのでご覧ください!

今回は梅雨だというのに本当に良い天気で、絶好の観測日和でした。最初から最後まで観測出来て感無量です。

おまけ。撮影した太陽をGIFアニメにしました。

アニメーションにすると、『太陽が欠けて見える』というよりも『月という天体が通りすぎた』感がより出ると思うのは私だけでしょうか?太陽の前に球体が「在る」感じがするのです。太陽と月の大きさは実際には400倍も違うのに、地球から見ると同じくらいに見えるという奇跡的な事実も、この天体現象を形づくっている要因ですよね。

 

3.次回、のおはなし

次に新潟県で観測できる日食はいつかというと、2030年6月1日。最大食は17時04分なので今回のように晴れていればしっかり観察できると思います。が、だいぶ先ですね…。日食の現象自体は10年の間に何度も起こるのですが、新潟で観測できるのは10年先。「いや、海外に行ってでも日食を見たいんだ!」という意欲のある方は、国立天文台のこよみ計算室をご覧いただくと日食が起こる日程・地点が判りますのでぜひ。地点によっては金環日食や皆既日食も観察できますよ。次は今年の年末、12月15日の皆既日食、この頃には皆気兼ねせず海外旅行できるくらいになってることを願うばかりです…。

何はともあれ、私はまずは来年5月26日の皆既月食を楽しみにしたいと思います。20時18分に月がすっぽり地球の影に入りますよー。月食は、あのじんわりと影が月を蝕する感じがたまらないのです🌙ではまた、長々と失礼しました!

学芸K


≪参考 & お薦め図書≫
『最新・月の科学 残された謎を解く』(NHKブックス)渡部潤一[編著]2008年6月25日出版