この実験は「空気の力」がテーマのサイエンスショーの中で行う予定でした。でも、成功率の低さと、見た目があまり派手じゃない等の理由から、ショーの中には組み込まれませんでした。せっかくですので、科学館日記で皆さんにご紹介したいと思います。
問題です。
もともとは同じサイズの風船Aと風船B。Aは小さめに、Bは大きめに膨らませます。そして真ん中に栓があるパイプの両端につけます。では、栓を開くと2つの風船の大きさはどうなるでしょうか?
次の①~③の中から選んでください。
① 風船Aが大きくなり、風船Bが小さくなる。
② 風船Aが小さくなり、風船Bが大きくなる。
➂ 風船A と風船Bが同じ大きさになる。
では、正解をご覧ください。
正解は、
② 風船Aが小さくなり、風船Bが大きくなる。
あれ?なんで?意外!!となりませんか??
皆さん、口で風船を膨らませたことはありますよね?風船を膨らます時、最初が一番きついですよね。苦しい。でも、だんだんと楽に膨らむようになってきませんか。
風船の膨らませ始めは、吹き込む息の量と勢いが大事。いったん伸び始めたゴムは、風船が大きくになるにつれ、その縮もうとする力が弱くなるので、息を吹き込むのも楽になりますよね。
これを空気の力の観点で説明すると、2つの風船内の圧力(=空気の押す力)が違うということになります。空気は圧力の高い方から低い方へ動きます。
小さい風船の方が縮もうとする力が強く、空気を押し出す力が強い=圧力が高い。
そして、大きい風船の方が縮もうとする力が弱く、空気を押し出す力が弱い=圧力が低い。
そのため、このような実験結果になりました。
言われてみれば、「あ、そうか。」と納得なのに、不思議とこの問題は正解の人が少ないのです。
なぜでしょうか、おもしろいですね。
(普及 鷲尾)