みなさんこんにちは!
8月も後半にさしかかりましたが、いかがお過ごしでしょうか。私は蒸し暑くてどうしようもなくなった夜は、窓を少し開けて空を眺めています。
夏は明るい星が多いので、雲がかかっていなければ街中でもいくつか星を見つけることができます。蚊と戦いつつ、アッこれは夏の大三角……!南の空の低いところにはさそり座……!と知っている星の並びや星座を見つければ、気分は星空博士です(夜更かしにはご注意を!)。
さて、夜空に見える星の並びは、世界中で様々なものに例えられています。中には「そんなものに見えるの!?」と驚いてしまうような怖いものも……!
涼しくなるような怖い話なら、夏にぴったり。ということで、今回はとある星の並びに結びつけられたちょっと怖いお話をみなさんにご紹介したいと思います。
〇アラビアに伝わるお話
あるところに三人姉妹とそのお父さんが仲良く暮らしていました。ところがある日お父さんが何者かに襲われ、命を落としてしまいます。犯人を突き止めた三姉妹は怒り、おそろしい復讐を始めました。
三人は、夜になると黒い服を着て、お父さんの棺桶を先頭に、犯人の家の周りをぐるぐると回り続けます。泣きながら、毎日、毎日……。
犯人はその姿や泣き声にすっかりおびえて、外に出られなくなってしまいます。しかし三姉妹は犯人を許すことなく、今もその周りを回っているのです。
みなさんはこれがどの星の並びのお話なのか分かりますか?
ヒントは、「ぐるぐる回り続ける」。
夜空で動かないひとつの星の周りをぐるぐる回っているように見える……といえば?
北の空に見える星ですね。
このお話は、北極星の周りをその他の星がおよそ24時間かけて一周しているように見えることをもとにして作られたといわれています。
それをふまえてお話を辿っていくと、どうやら外に出られなくなった犯人を表すのは、北の方角を示す星、北極星のようです。この星は地軸の延長線上にあるため、夜空ではほとんど動いていないように見えます。
となると、北極星の周りをぐるぐる回る星の並びで、「四角い棺を三人で押す」という物語のシーンと一致しそうなものは……
北斗七星ですね。
北斗七星の端にある三つの星が三姉妹。四角い部分は……お父さんの棺!
なんともおそろしく、悲しい復讐劇です。
そんな話を読んだら空を見上げるのが怖くなるじゃないか!という方、ご安心ください。
日本のお隣の国、中国では、北斗七星の星を七匹の豚の精とする言い伝えがあります。
北斗七星ならぬ、北豚七星……?
夜空でころんころんと七匹の豚たちが転がっている姿を思い浮かべれば、なごやかな気分になれるかもしれません。
ちょっと変わった星のお話をお供に、夜の時間を過ごしてみてはいかがでしょうか?
プラネタリウム解説員 すじこ
参考資料
『春の星座博物館』 著:山田卓 地人書院 初版2005年6月20日