みなさんは、海で貝殻を拾ったことはありますか?(残念ながら、私は海なし県出身なのであまり経験がないのですが・・・)
その時、こんな風に穴の開いた二枚貝の貝殻を見つけた経験がある方もいらっしゃるかもしれませんね。
「ネックレスやブレスレットにするのにちょうどいい!」「ラッキー!!」なんて思いませんでしたか?
でも、この穴は、いったい誰が何のために開けたのでしょうか?調べてみると、少し怖い話がでてきました。
二枚貝には、たくさんの敵がいます。
例えば、タコやヒトデは、貝殻をこじ開けて中身を食べるそうです。鳥類のなかには、高いところから落下させて貝殻を破壊し、中身を食べる種類もいるとか・・・。
他にも、カニ類がハサミで貝殻を破壊して中身を食べたり、貝を食べる貝がいたり、丸呑みにする魚類がいたり・・・本当に敵だらけですよね。
そんな、たくさんいる敵の中に穴開けの犯人がいました!
なんと!肉食の貝!!
タマガイ科やアッキガイ科などの巻貝です。今回は、タマガイ科の「ツメタガイ」を紹介します。
このツメタガイの貝の食べ方がなんとも恐ろしいのです。ツメタガイは、獲物をみつけると、まず足で獲物を包み込むようにして固定します。その後、歯舌(しぜつ)で削って穴をあけ、中身を食べてしまうそうです。
歯舌は、貝類やイカ・タコなどの軟体動物にみられる特殊な器官で、膜の上に細かい歯が並んでいます。開けられた穴は、機械で開けたようにきれいな円形をしています。
食べられまいと必死に殻を閉じていても、穴をあけられて無理やり侵入されてしまうとは・・・自分を食べられる側の貝に置き換えて想像すると、怖いですよね。タマガイ科の貝は、主にアサリやサクラガイなどの二枚貝を食べますが、巻貝などを食べることもあるようです。
科学館の自然の科学2階には、貝の化石が展示されています。その中にも穴があいた貝がいくつかあります。
もしかしたら、この貝は昔「ツメタガイ」に食べられてしまった・・・のかもしれませんね。みなさんも、海で拾った貝殻や当館の貝の化石を一度じっくり観察してみてくださいね。
インタープリター・W
《参考》
・「魚・水の生物のふしぎ」ポプラ社
・「ときめく貝殻図鑑」山と渓谷社
・ 水産庁「干潟及び二枚貝状態診断指針」https://www.jfa.maff.go.jp/j/gyoko_gyozyo/g_hourei/pdf/sub75e.pdf