赤は派手な色?地味な色!?

皆さん、海の生き物はお好きでしょうか。
私は生き物を見るのも食べるのも好きです。水族館に行き、色とりどりの熱帯魚をきれいだなぁ、と鑑賞しつつ、ふとイワシやアジなどのお馴染みの魚を見ると、なんだかヨダレがでてきます。
魚ではありませんが、小さい頃、「タカアシガニって美味しそう…」と思っていて、水槽にかじりついて見ていました(おそらく、カニは身の危険を感じていたことでしょう…)。ちなみに最近知ったのですが、深海魚は脂がのっていて美味しいものが多いそうです。

さて、水族館で水槽を見ていると気づいたことがありました。
深海にすむ生き物は赤色が多いのです。

深海は水深200mより深い海のことを指します。
深海にすむ生き物を思い浮かべてみましょう。
ノドグロ、キンキ、キンメダイ、タカアシガニ、メンダコ、どれも赤いですよね。
当館に展示されている標本を見てみると、
ホウボウ、ホッコクアカエビ、ベニズワイガニ、すべて赤いです。

自然の科学2階 新潟県の動植物
上:ホウボウ、左下:ホッコクアカエビ、右下:ベニズワイガニ

なぜ深海では赤色の生き物が多いのでしょうか?
実は、赤色は海の中で目立ちにくい色なのだそうです。

太陽の光には可視光線(目に見える光)と赤外線や紫外線が含まれています。その中でも、可視光線は大きく分けて7色の光(赤、オレンジ、黄、緑、青、藍、紫)が混ざり合ってできています。
光は水の中に入ると、水分子に吸収されていきます。しかし、全ての色が水に入ったとき、同時に吸収されるわけではありません。水分子には赤色や黄色の光は吸収しやすく、緑や青色の光は吸収されにくいという性質があります。
水の中を深く潜っていくと、一番早くなくなるのは赤色の光です。反対に青色の光は海の深い所でも届きます。
つまり、深海は赤色の光がほとんどなくて、青色の光ばかり、ということになります。

「深海生物大事典 水深と太陽光の関係」を元に作成

では、赤色の光のないところで、赤色の生き物はどう見えるのでしょうか?
当館で実験をすることができます!

自然の科学3階、楽しい実験室に「ものの色」という展示があります。

自然の科学3階 楽しい実験室


ここで赤いリンゴに青色の光を当ててみましょう。

リンゴがかなり黒っぽく見えませんか?
赤いリンゴは赤色の光を反射しますが、当たっているのは青色の光です。青色の光は吸収され、反射する赤色の光がないので、リンゴが黒っぽく見えるのです。
ここでは他の色の見え方も実験できるので、やってみてくださいね。

展示では強い光を当てますが、深海生物が暮らしているのは光がもともと少ない深海です。周りが暗ければ暗いほど、黒っぽく見える赤色は目立ちにくくなっていきます。そのため、赤色の生き物は深海で生き残り、どんどん多くなったと考えられています。

生き物の色や模様には、生き残るための秘密が隠されています。自然の科学2階にはたくさんの生き物の標本がありますので、ぜひ「色」にも注目してみてくださいね!

コミュニケーター U

参考
・『深海生物大事典』(2014) 著/佐藤孝子 出版/成美堂出版
・『深海と深海生物 美しき神秘の世界 ― 水深1万1000mまでの謎を解く』(2012) 監修/独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC) 出版/ナツメ社
・『釣って 食べて 調べる 深海魚(月刊たくさんの不思議2021年7月号)』(2021) 著/平坂寛 絵/長嶋祐成 写真/キッチンミノル 出版/副音館書店