北に飯豊山が広がり、町の中央を阿賀野川が流れる水と緑の美しい自然に恵まれた「阿賀町」。
今回はそんな自然豊かな阿賀町の三川で関ベン鉱業さんから自然資源を活用したものづくりを学びました。
この地ではベントナイトという鉱物が採れます。関ベン鉱業では、このベントナイトを山で採掘、加工してベントナイト製品を製造、販売しています。
はじめに、ベントナイトについて社長の黒坂 恵一さんに説明してもらいました。
みんな、ベントナイトという言葉を聞くのも初めてみたいでしたが、黒坂さんの説明でベントナイトが土木工事や農業、食品から美容品まで いろいろな分野で広く利用されていることを知り、興味がわいてきた様子です。
説明を聞いた後は、ベントナイトを加工する工場の見学です。
最初に堆積場へ向かいます。堆積場には鉱山で採掘され運び込まれたベントナイトの岩石が山のように積まれています。この堆積場から岩石を工場へと運び、粉砕してベントナイトを生産するのです。
岩石にはベントナイト以外の鉱物も含まれているため、粉砕して徐々に細かくしながら不純物を取り除いていきます。これらの工程を順に説明してもらいながら工場内を移動して見学します。
工場内は様々な機械や設備があって、通路や階段も狭く入り組んでいるため 秘密基地の中を探検している気分です。
工場見学の後は車で移動し、ベントナイト岩石を採掘している鉱山に向かいます。
鉱物の採掘には「坑内掘り」と「露天掘り」という2種類の方法がありますが、関ベン鉱業では露天採掘という方法でベントナイトを採掘しています。
地表から渦を巻くように掘り下げて採掘するので、採掘場がすり鉢状になっています。
すり鉢の縁を回るように歩いて、鉱山の底の採掘場まで移動するのですが、粘土質のため軟らかい場所だと足元が崩れたり、沈んだりします。
ベントナイトは数百万年から数億年前の火山の噴火によって堆積した火山灰が、熱や水、圧力により化学反応を起こして出来た鉱物です。
鉱山では長い時間をかけた地球の活動の一部を見ることができ、自然の雄大さを感じます。
鉱山にはところどころに大きな溜池が作られています。これは採掘で出た粘土を含む土砂をろ過するもので、土砂がそのまま山の下にある川に流れ込み、川が汚れてしまうのを防いでいます。数か所の溜池を通すことで徐々に土砂を沈殿させてろ過していき、最後にきれいになった水だけを川へ流しています。
また、採掘した跡地には木や芝などを植えてベントナイト鉱石を採掘した後は緑豊かな山林に戻すそうです。
動物や植物、昆虫などの生き物がこの地に住み続けられるように資源を使うだけでなく資源を守る。ベントナイトを通してSDGsへの取組みについても学ぶことができました。
ワークショップでは、ベントナイトの水分吸収や消臭、防水についての実験と学んだことを活かしてベントナイトの新しい使い方のアイデアを考えてもらいました。
百聞は一見に如かず。
説明を聞いただけでは理解が難しいベントナイトの特徴も実験で匂いを嗅いだり、触ったりすることで楽しく理解できたと思います。
クレイパック製作体験は、実際に製品を製造している作業場に入り行います。阿賀町の温泉水と香料、そしてベントナイトを使ったクレイパック作りに挑戦です。
数種類の香りの中からどの香料にするか選んだら温泉水とベントナイトの粉末の分量を慎重に量って混ぜ合わせ容器に絞りだしてクレイパックを製作します。最後にパッケージに文字やイラストを描いてオリジナルのクレイパックの完成です。
今日一日、工場や鉱山を見学したり、実験をしたり、クレイパックも作ってみんな最初は名前も知らなかったベントナイトについて沢山のことを覚えました。
阿賀町の豊かな自然と地域資源のベントナイトや温泉、そしてそれらを活用した産業を実際に体験したことで子どもたちには地域を知り、学ぶことの楽しさ、大切さに少しでも気づいてもらえればと思います。
ご協力いただいた関ベン鉱業株式会社様に改めて感謝申し上げます。
新潟県立自然科学館
ベントナイトについては、生活の科学3階で開催中の展示「NIIGATA TECHNO CUBE」第8期でも紹介しています。ぜひご覧ください。