二十四節気

だんだんと日の入りの時刻が遅くなり、昼が長くなってきましたね。もうすぐ6月21日は今年の「夏至」です。

夏至は二十四節気(にじゅうしせっき)のひとつで、太陽が空の一番高いところを通り、一年で一番、昼が長く夜が短くなるとされる日です。

ニュースなどでよく「今日は二十四節気の〇〇です」と紹介されますので、私は昔からなんとなく、二十四節気という言葉だけは耳にしてきたのですが、それが何なのかは長い間知りませんでした。 意外とそういった方はいらっしゃるのではないでしょうか。(私だけかもしれませんが)

二十四節気とは?

二十四節気は季節を表すひとつの目安です。1年(地球が太陽の周りを一周)を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つに分け、ひとつひとつに季節を表す名前がつけられています。

<二十四節気 名前/意味/日付> ※引用:国立天文台HP ※日付は2024年のもの

二十四節気の決め方は時代によって様々でしたが、現在では、地上から見た一年間の太陽の動きを元に決められています。

地上から見た太陽の通り道は「黄道(こうどう)」と呼ばれ、太陽の見える位置は黄道に沿って1年間で少しずつ変化していきます。黄道上での太陽の位置は数字で表され、0°~360°という風に表します。二十四節気は1年の太陽の黄道上の動きを24等分し、15°ごとに決められており、0°の位置に太陽がきたら「春分」、15°の位置にきたら「清明」…という風に、太陽の位置によって季節を表す言葉を当てはめたのです。

地上から1年の太陽の動きを見ていくと、太陽が空の高い位置を通る時期があれば、低い位置を通る時期もあります。太陽の高さが変化すれば、地上に太陽光が当たる時間なども変化しますので、(だいぶ大雑把に言えばですが、)太陽光が沢山当たる時期は夏、あまり当たらない時期は冬…という具合に、季節の変化が生まれます。

二十四節気ごとの太陽の高さ

二十四節気が何に役立ったのか?

現代私たちが使っている暦(暦=カレンダーのようなもの)は、太陽の動きを元にした太陽暦ですが、昔は太陽太陰暦などの月の満ち欠けを元に作られた暦が使われていました。昔の暦では、月が新月から次の新月に至るまでの周期を1か月としていたのです。この周期は約29.5日ですので、これを1か月とすると…1年間は約354日となり、太陽暦での1年=約365日に対して、11日ほども短くなります。

これでは、年を重ねるごとに季節と日付がずれてしまいます。

↑のようなことがあったかはわかりませんが、季節と日付が毎年ずれていってしまうと、季節の行事の日を決める時や、農業で種まきをいつするかなどを決める時などにきっと困ったことでしょう。

日付と季節のズレをなくすため、暦の調整は都度行われてきましたが、暦の日付以外で季節を知る方法として役立ったのが二十四節気なのです。「毎年〇月✕日に種まきしよう」ではなく、「“立夏”の時期に種まきしよう」とか決めておけば、暦の日付がずれていても、毎年同じ時期に種まきや収穫をできますから、人々の暮らしの助けになったことでしょう。(ただし、二十四節気は古代の中国で生まれたもので、言葉それぞれが日本の気候に完全一致というわけにはいかなかったかもしれません)

太陽暦になったことで、毎年の日付と季節が大きくずれることはなくなりましたが、最近は春でも夏のように暑い日もあります。二十四節気の言葉が全然あてはまらない…なんてことも、この先増えていくのかもと思うと、少し寂しい気もしますね。

プラネタリウム解説員 I


<参考ウェブサイト>

・国立天文台.“二十四節気の定め方”.国立天文台暦計算室.2020/7/24更新. https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/B5A8C0E12FC6F3BDBDBBCDC0E1B5A4A4CEC4EAA4E1CAFD.html,(閲覧日:2024/5/9).

・国立天文台.“二十四節気”.国立天文台暦計算室.更新日記載なし. https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/faq/24sekki.html,(閲覧日:2024/5/9).

・国立天文台.“二十四節気とは?”.国立天文台暦計算室.2022/2/7更新. https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/B5A8C0E12FC6F3BDBDBBCDC0E1B5A4A4C8A4CFA1A9.html,(閲覧日:2024/5/9).

・国立天文台.“令和6年(2024)暦要項”.国立天文台暦計算室.2023/2/1更新. https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/yoko/2024/rekiyou242.html,(閲覧日:2024/5/9).

・国立天文台.“太陰太陽暦”.国立天文台暦計算室.2022/11/18更新. https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/C2C0B1A2C2C0CDDBCEF1.html,(閲覧日:2024/5/9).

・国立天文台.“「旧暦」は現在の暦より季節に合っているの?”.国立天文台よくある質問.更新日記載なし. https://www.nao.ac.jp/faq/a0305.html,(閲覧日:2024/5/9).