夕暮れの空はなぜ赤い?

晴れやかな秋空が広がる季節となりました。朝晩はだいぶ涼しく感じますね。

さて、皆さんは「秋」といえば何を思い浮かべますか?

読書、スポーツ、芸術、色々とありますが、私の「秋」といえば「夕暮れの空」です!

「秋といえば夕暮れの空?」と思う方もいるかもしれませんね。私も季節に関係なく、段々と赤く染まる夕暮れの空をきれいだと思っていたのですが、「秋は夕暮れの空が美しい」と本で読んでから、特に秋の夕暮れの空が好きになりました。

その本とは、平安時代中期の歌人、清少納言の代表作である『枕草子』です。

「秋は、ゆふぐれ。ゆふ日のきはやかにさして、山のはちかくなりたるに、からすのねに行とて、みつよつ、ふたつみつなど、とびゆくも、あはれなり。まして、かりのおほくとびつれたる、いとちひさくみゆるは、いとをかし。日いりはてて後、かぜのおと、むしのこゑなどは、いふべきにもあらずめでたし。」

現代語訳:
秋は、夕暮。夕日が(赤々と)あざやかにさして、山の稜線近くなったころに、烏が寝に行こうとして、三つ四つ、二つ三つなどと飛んでいくのも、しみじみとした感じがする。まして、雁がたくさん連なって飛んでいるのが、とても小さく見えるのは、たいそう趣深い。日がすっかり入ってしまって後、風の音や虫の声などが聞こえるのは、ことばに尽くせないほどすばらしい。

今読んでも、その時の情景が色鮮やかに思い描ける、素敵な一節ですね。

夕暮れの飛行機雲

ところで、日中は青かった空が、なぜ夕暮れになると赤くなるのでしょうか?

空の色は太陽の光と、地球を覆っている大気が関係しています。

太陽の光には様々な色が含まれています。空が青く見えたり赤く見えたりするのは、様々な色が含まれた太陽の光が大気を通り抜けるとき、大気中のちっ素や酸素の分子にぶつかって散らばり(これを散乱といいます)、その光が空に広がるためです。

太陽が高い位置にある日中は、太陽の光の中でも散乱しやすい青い光が空に散らばって、空が青く見えます。一方、夕暮れには太陽の位置が低くなるので、太陽の光が地球上の大気を通る距離は日中よりも長くなります。すると、青い光は散乱しきってしまいますが、散乱しにくい赤い光だけは残って、私たちに届くようになるので空が赤く見えます。

夕暮れだけではなく、明け方の空が赤いのも同じ理由です。空の色にはこんな理由があったのですね。

青と混ざる茜色

雲一つない澄み切った日中の青空も素敵ですが、赤く染まっていく夕暮れの空にも心惹かれます。

ずっと昔から変わらず、今も美しい秋の夕暮れの空を見ることができているなんて、何だかとても趣深いですね。今どきの言葉で表すなら「エモい」でしょうか☺

皆さんも素敵な秋の夕暮れの空を探してみてくださいね!

コミュニケーター 今井


参考資料

・杉本 隆編. 地球. 小学館, 2019, (小学館の図鑑 NEO, 10).
・KoKaNet, 子供の科学のWebサイト, 山村 紳一郎. “空が青いのはどうして?”. 今日のはてな. 2020-1027.https://www.kodomonokagaku.com/read/hatena/5099/, (参照 2024-07-06).
・速水 博司. 堺本 枕草子 評釈: 本文・校異・評釈・現代語訳・語彙索引. 有朋堂, 1990.