みなさんこんにちは。突然ですが、江戸時代の魚沼の空からお手紙が届きました。

「これが手紙?」と思われる方も多いと思いますが、さっそく読んでみましょう。
「地上のみなさんこんにちは。私は雪の結晶です。名前を羊歯六花(しだろっか)といいます。私が生まれた雲は気温が-15℃くらいで、湿度がとても高いところです」
実はこのお手紙、雪の結晶の形を見ただけで読めてしまうのです!どうやって読んだのか、これから説明していきます!
❅雪の結晶のでき方
そもそも、雪の結晶はどうやってできるのでしょうか。
雲の中の気温が0℃より大きく下がると、大気中のチリに水蒸気が結びついて、氷晶(ひょうしょう)という雪の赤ちゃんができます。氷晶が雲の中を落下するうちに、まわりの水蒸気がさらに結びつき、徐々に大きくなります。このときの「雲の中の気温」と「水蒸気の量」によって、雪の結晶の形が決まります。下図は、その関係を示した小林ダイヤグラムを参考に作成したものです。

雲の上と下では気温も水蒸気の量も大きく異なるので、氷晶が落ちている間にも雲の中の状況は常に変化します。こうして、さまざまな形の雪の結晶ができるのです。
地上に舞い降りた雪の結晶の形を見れば空の様子がわかるため、かつて雪について研究していた中谷宇吉郎は「雪は天から送られた手紙である」という言葉を残しています。
❅雪の結晶の種類
現在、雪の結晶は121種類にわけられています。その中からいくつかご紹介します。

雪の結晶の形は一つとして同じ形や模様にはなりません。それは、時間や場所が異なれば、雲の中の条件も変わるからです。

❅自然科学館で見られる雪の結晶
ところで、当館では一年中雪の結晶が見られることをご存知でしたか?


1階 新潟県の移り変わり【わたしたちの新潟~雪が育む街~】では、入口の壁面にさまざまな雪の結晶の図を映し出しています。この結晶は、魚沼出身の鈴木牧之が江戸時代に雪国の暮らしを紹介した本『北越雪譜(ほくえつせっぷ)』のスケッチをもとにしています。
❅天から送られた手紙を読む
最初に紹介した羊歯六花(しだろっか)さんからの手紙は、『北越雪譜』のスケッチを、雪の結晶のダイヤグラムにあてはめて読んだものだったのです!ほかにもお手紙が届いているので読んでみましょう。

「地上のみなさんこんにちは。私の名前は樹枝付角板(じゅしつきかくばん)といいます。気温が-15℃前後で水蒸気が少ない雲の中で角板ができたあと、水蒸気が豊富な雲に入って樹枝状に成長しました」
雪の結晶の形を見ることで昔の空でも様子が分かるなんて、なんだか不思議ですよね。みなさんもぜひ「天から送られた手紙」を読んでみてください!
コミュニケーター ザリガニさん
<参考>
・子供の科学編集部. 特集, 見る 撮る 実験する この冬がもっと楽しくなる: きらめく雪の結晶. 子供の科学. 2018, (2), p.12-27.
・古川義純. “おしえて館長!『雪と氷のQ&A』”. 中谷宇吉郎 雪の科学館. https://yukinokagakukan.kagashi-ss.com/oshiete/page/4/, (参照 2025-12-11).
・菊地勝弘ほか. 中緯度と極域での観測に基づいた新しい雪結晶の分類: グローバル分類. 日本雪氷学会誌 雪氷. 2012, 74(3), p.223-241.
・荒木健太郎. ろっかのきせつ.ジャムハウス, 2018, 32p.
・菊地勝弘, 梶川正弘. 雪の結晶図鑑. 北海道新聞社, 2011, 190p.
・鈴木牧之 編撰. 岡田武松 校訂. 北越雪譜. 第52刷, 岩波書店, 1998, 348p.
・中谷宇吉郎. 雪. 特装版, 岩波書店, 1984, 165p.
