科学館では2021年から毎年、屋外展示場などに鳥の巣箱をかけています。今年は3月の中旬に6個の巣箱をかけました。
巣箱で繁殖する鳥たちの繁殖期が終わったので、先日、巣箱を取り外しました。
繁殖期の間は巣箱に出入りする親鳥の姿を見かけることや、ヒナの鳴き声が聞こえることもありますが、中には全く鳥の気配のない巣箱もあるので、巣箱を外して開けてみないと利用状況が分からないこともあります。
今年は6個中4個の巣箱が利用されていました。では、巣箱の中を見ていきましょう!
1つ目の巣箱は…

「シジュウカラ」の巣が作られていました!底にはコケが敷き詰められ、フカフカのベッドのようです。
その上にある円い感じの白っぽい部分が「産座(さんざ)」と呼ばれる卵を産むところで、化学繊維や獣毛などで作られています。このモフモフの巣にシジュウカラのヒナがいたかと思うと自然と頬が緩みます。
ちなみに、シジュウカラは黒いネクタイ模様が特徴的なスズメくらいの大きさの鳥で、樹洞や巣箱に巣を作り繁殖する鳥です。

続いて、2つ目はどうでしょうか?

こちらもシジュウカラの巣です。
巣箱を使ってくれたのは嬉しいのですが、シジュウカラの尾羽が10枚ほど散乱していました。巣箱の中で何かあったようですね…
3つ目は…

こちらもシジュウカラの巣ですが、なんと!卵がひとつ残っていました!!
孵らなかったのは残念ですが、とても綺麗な状態だったので卵標本にしてみました。

大きさは長径18㎜、短径14㎜、重さは1.25gでした。
*卵のツヤは標本作製時にできたヒビを補修するためのニスによるものです。
さて、最後の巣箱は…

「スズメ」の巣です!
巣の材料には大量の枯草や鳥の羽などが使われています。上の方にあった穴から中をのぞくと、枯草がお椀のような形に整えられ、その周りを枯草や鳥の羽で緩く覆っているような感じでした!
今年設置した6個の巣箱のうち、2個は鳥たちによる利用がなく、その内のひとつは中にゴキブリが数匹入っていました。他の巣箱とは違った意味で「開けてびっくり」でした…
この後巣箱は中身を取り出し、掃除や補修をしてまた来年の春に使う予定です。
巣箱は毎年、6個の巣箱を同じ場所に設置していますが、ちゃんと鳥に利用されているのは5年連続で同じ4か所、そして、残りの2か所は利用される年と利用されない年があることが分かりました。この2か所は設置場所を変更しても良いかもしれない、と感じています。
次の春に向けてゆっくり考えたいと思います。
(企画 J2)