地球に最も近い満月

秋といえば、お月見シーズンですね。秋の月は、高すぎず低すぎず、眺めるのにちょうどよい高さに月が昇ります。また、秋は空気が澄んでいて、はっきりとした月を見ることができるので、秋の月は美しいといわれています。

ところで、今日(2024年10月17日)の満月は、2024年の中で地球に最も近い満月で、いつもより大きく見えます。最近では、スーパームーンと呼ばれることもあります。

みなさんも、ニュースやSNSなどで「今日(2024年10月17日)は、スーパームーンです」という言葉を耳にした、もしくは見たことがあるかもしれません。

■スーパームーンってなに?

月は、地球のまわりを楕円状にまわっています。そのため地球に近づいたり遠ざかったりします。

1年の中で地球に最も近い満月のことをスーパームーンと呼ぶことがあります。ただ、スーパームーンという言葉自体には、科学的に明確な基準はないので、いろいろな基準でスーパームーンという言葉が使われています。例えばアメリカでは「地球と月の距離が36万km以内の満月」をスーパームーンと呼んでいるようです。この考え方ですと、1年間に数回、スーパームーンを見られる可能性があるということになります。

一方で、スーパームーンを「1年の中で地球に最も近い満月」とすると、必ず1年に一度スーパームーンが起こることになります。いずれの考え方であっても、“いつもより大きく見える満月”のことを指しているようです。 それでは、今日の満月が、どのくらい大きく見えるのか、1年の中で地球から最も遠い満月と見比べてみましょう。

■地球に最も近い満月と遠い満月

©国立天文台

地球と月の地心距離(地球の中心から月の中心までの距離)は、平均して約38万kmといわれていますが、今年(2024年)は、最も近いときで約35万7000km、最も遠いときで約40万6000kmとなります。

今年、地球から最も遠いときの満月は2024年2月24日でした。そのときの満月と比べると、最も近いときの満月は約14%も大きく見えます。しかも明るさは、約30%も違って見えるそうですから、驚きですね。

画像のように並べて見比べてみると大きさの違いが分かりますが、実際の空では見比べることはできないので、いつもの月よりも大きいと言われても大きさの違いを感じにくいかもしれません。でも、「今日は、スーパームーンです」と聞くと、なんだかわくわくして月を眺めたくなりますよね。スーパームーンでなくても、満月はとても明るく、地平線近くにあるときなどには大きく見えることもあります。地平線近くに見える満月が大きく見えるのは、目の錯覚によるものだといわれています。

満月の明るさは、街灯などがなくても夜道を歩けるほどです。私も夜に窓のカーテンを開けていたとき、電気を消しても部屋の中が明るいなと感じて窓の外を見てみたら、満月があったというちょっぴり素敵な経験があります。

みなさんもぜひ満月のときは、その明るさや大きさを体感してみてください。


(追記)

10月17日 17:13

天文スタッフが東の空から顔を出す2024年最も地球に近い月、スーパームーンを観察しました。

鳥屋野潟の水面に月が映っていて、とても美しく、幻想的でした。


プラネタリウム解説員 TJ

<参考ウェブサイト>
・国立天文台.“2024年で地球にいちばん近い満月(2024年10月)”.ほしぞら情報2024年10月.https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2024/10-topics03.html(閲覧日:2024/9/22).
・国立天文台.“月や太陽が大きく見えるのはなぜ?”. https://www.nao.ac.jp/faq/a0202.html (閲覧日:2024/9/22).
・アストロアーツ.“2023年8月31日スーパームーン”.https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/12836_ph230831 (閲覧日:2024/9/22).

<参考図書>
・浦 智史.『世界でいちばん素敵な月の教室』.株式会社三才ブックス.2019.10.1第1刷発行  18p
・塚田 健.『天文現象のきほん』.株式会社誠文堂新光社.2023.8.18発行 40p