皆さんこんにちは。
この冬は寒波の影響で各地大雪となっていますが、皆さんがお住まいの地域はいかがでしょうか。
道端の植物たちも、雪が降るととても寒そうです。
雪の下に埋もれている植物たちを見て、こんな風に思ったことはありませんか?
「植物って凍らないのかな?」
冬になると冬眠をして過ごす動物もいますが、植物はどうやって厳しい冬を乗り越えているのでしょうか。調べてみると、植物ならではの面白い寒さ対策を知ることができましたので、簡単にご紹介します。
なんと、植物たちも人間や動物と同じように冬支度をしています。秋から冬にかけて気温の変化を感じ取った植物は、細胞内に糖類などをため込み、冬を迎える準備をします。
水は0度になると凍ってしまいますが、糖類などが含まれていると、氷点下の温度になっても凍りにくくなります。ダイコンなどの冬野菜が寒くなると甘さが増すのは、糖類などをため込んでいたからなんですね。
植物は、こうして体内の水分が凍るのを未然に防いでいるのです。
では植物は凍らないのかというと、そんなことはありません。寒い地域で暮らす植物のほとんどは、氷点下になると体内に氷ができます。しかし、細胞内の水が凍ってしまうと、細胞は死んでしまいます。
重要なのは「氷ができる場所」です。 細胞内はため込んだ糖類などの濃度が高いためすぐには凍らず、多くの植物では先に細胞の外(細胞と細胞の間)に氷ができます。そうすると、細胞内の水がその氷に引き寄せられ、氷の結晶が成長していきます。その結果、細胞内は水が減って糖類などの濃度が高まり、ますます凍りにくくなるという訳です。
このように、寒い地域に適応した植物は、細胞が凍らない仕組みや、凍っても生きられる仕組みを持っているのです。
私たち人間も、生活の中で寒さを乗り越えるための様々な道具を生み出してきました。方法は違えど、何かしらの工夫で困難な環境を乗り越えてきたんですね。
まだまだ寒い日が続きますが、植物たちと一緒に暖かい春を心待ちにしたいと思います。
コミュニケーター S
《参考文献》
・酒井昭, 2003, 「植物の耐寒戦略 寒極の森林から熱帯雨林まで」北海道大学図書刊行会
・日本植物生理学会, 2013,「これでナットク!植物の謎Part2 ふしぎと驚きに満ちたその生き方」講談社
・今井亮三, 2004,「植物の低温馴化の分子機構」 植物化学調節学会誌『植物の生長調節』vol.39 p.174-188