みなさん、こんにちは。
突然ですが、ゾウさんって優しい顔をしていて、かわいいですよね。私は大好きです!
さて、自然の科学2階、マイアサウラ劇場のお隣にはゾウの全身骨格が展示されています。
大昔のゾウということで、お客さまから有名なマンモスゾウに間違われがち。ですが、「ナウマンゾウ」という、日本に、そして新潟にも住んでいたゾウなのです。新潟では柏崎市、糸魚川市、妙高市、そして佐渡沖の日本海海底で化石が発見されています。
ナウマンゾウ | マンモスゾウ(ケナガマンモス) | |
分類 | 長鼻目ゾウ科パレオロクソドン属 | 長鼻目ゾウ科マンモス属 |
生きていた時代 | 約30万年前~約2.6万年前 | 約40万年前~約1万年前 |
住んでいた地域 | 主に日本全国に分布 北海道~九州の各地で化石が見つかっている | シベリアで誕生し、アイルランドから北米大陸に分布 日本では北海道で化石が見つかっている |
同じゾウの仲間ですが、ナウマンゾウはパレオロクソドン属、マンモスゾウはマンモス属と、違うグループに属しており、生きていた時代や住んでいた地域も異なります。
ゾウの骨格を見てナウマンゾウかどうか知りたい、そんな時は、特徴的な頭の形に注目してください。ナウマンゾウは、横から見ると四角く、おでこが大きく張り出していて、ベレー帽をかぶったような形(前頭頭頂隆起)になっています。当館の展示の頭部でも、その特徴を確認できますよ。
ナウマンゾウは同時に見つかる植物や動物の化石の構成から、温帯の針葉樹の混じる落葉広葉樹の森林や湿地に生息していたと推定されています。オオツノシカやヒグマのほか、二ホンモモンガやアカネズミ、タヌキなど日本の固有種の動物たちとも共存していたようです。
ところで、日本列島ではナウマンゾウのほかにもゾウの化石が見つかっています。見つかった化石をもとに、日本にゾウが生息していた時代を年表にまとめました。
このうちアネクテンスゾウとアケボノゾウ、マンモスゾウ(ケナガマンモス)は、歯の標本がナウマンゾウのすぐ手前に展示されています。
現在、日本に野生のゾウはいませんが、かつては日本列島にもゾウが自由に歩いていた時代があったなんて、想像するだけでワクワクします。
みなさんもぜひナウマンゾウに会いに来て、想像を膨らませてみてくださいね。お待ちしております!
コミュニケーター F
参考文献
- 高橋啓一, ナウマンゾウ研究百年,滋賀県立琵琶湖博物館研究調査報告,35:1-253, 2022.
- 高橋啓一, 日本のゾウ化石、その起源と移り変わり,豊橋市自然史博物館研報,23:65-73, 2013.
- 福田正己,マンモス―絶滅の謎からクローン化まで―,誠文堂新光社,2017.
- 三垣善朗,マンモスの牙と溶融紡糸合成繊維製造設備,繊維機械学会誌,59(3):155-158, 2006.
- 後藤和文,マンモスが復活する日,マンモス復活協会編,東京書籍,2000.